映像化して祈る ―― N・V・ピール牧師
御翼2023年3月号その4掲載
米国のある婦人が、夫との間がしっくりいかず、夫の興味が他の婦人にあることを発見し、ヒステリックになった。牧師に相談すると、まず牧師は彼女に悔い改める必要を認めさせた。自分中心で心の尖った、口やかましい女であったことを認めさせたのだ。夫に対する劣等感が、敵対的態度、かんしゃくとあら探しとなって現れていた。牧師はこの婦人に、自分には才能と魅力があり、その姿を思い描くことを提案した。信仰が、顔に美しさを加え、立ち居振る舞いに魅力と優雅さとを与える、と伝えた。そして、夫の良いところを思い浮かべ、二人の間に調和が戻ってきた状態を心に描き、祈ったことを「映像化」するよう助言した。
一方、夫は離婚したいと彼女に申し出ていた。彼女は、離婚は最終的なものだという理由で、その決定を90日間延期することを提案した。「90日たっても、あなたが離婚を望んでおられるのでしたら、そうしましょう」と、彼女は静かに言った。夫は毎晩外出し、彼女は家にいたが、彼女は夫がお気に入りの椅子に座っている様子を心に描いた。彼はその椅子に実際はいなかったが、彼女は彼がそこで昔のように愉しげに読書している様子を思い描いた。家の周りでゴルフの球を打ったり、ペンキを塗ったり、花を植えたりしている姿を心に浮かべた。結婚当初彼がしたように、彼が皿を拭いている有り様までも心に描いた。二人が一緒にゴルフをしたり、ハイキングに出掛けたりする想像図を、彼女は堅い信仰をもって持ち続けた。
するとある晩、彼が実際にお気に入りの椅子に座っていた。彼女は、それが現実であることを確かめるために、二度眺め直した。時には彼は外出をしたが、次第に椅子に座っている晩の方が多くなってきた。それから、彼は昔のように、彼女に本を読んで聞かせることを始めた。天気の良いある土曜日、彼は彼女をゴルフに誘った。約束の90日になるまで、毎日毎日が愉しく過ぎていった。その夜、彼女は静かに言った。「ねえビル、90日目はきょうですよ」「なんのことだい」と彼はとまどって尋ねた。「覚えていらっしゃらない? 私たちは離婚問題の決着をつけるために90日待ちましょうとお約束しましたのよ。きょうがその日ですわ」彼はしばらく彼女を見つめて、それから読んでいた新聞の蔭に隠れて言った。「馬鹿なまねはおよしよ。君がいなければ暮らしていくことは出来ないよ。私がお前と別れようと思っているなんて考えをどこで聞いたんだい」と。
祈り、映像化したことが現実化したのだった。
N・V・ピール『積極的考え方の力』(ダイヤモンド社)より
