2022年御翼3月号その2

 

戦争と伝道 ―― 内村鑑三

戦争を好む理由
一九〇三(明治三十六)年十一月 内村鑑三全集11
 生命を惜まざるを以て勇気なりと称す、而(し)かも人類の多数は生命を愛せざる者なり、人世に絶望して常に死を思ふ、故に他人を殺して自からも死せんと欲す、是れ此世に在て戦争が常に多数の賛同を博する所以なり、若し生命の真価にして知られんか、人類は直に戦争を廃するに至るべし、絶望家の世に多数を占むる間は開戦の声は常に高かるべし。(博する=獲得する)

戦争と繁栄 一九一一(明治四十四)年五月 内村鑑三全集18
 戦争の後に繁栄来る、繁栄は悪魔の事なれば也、繁栄は幸福の増進にあらず、慾心(よくしん)の亢進(かうしん)なり、誰か知らんや、神の聖眼より見て、繁栄は戦争相当の刑罰にあらざることを。
(注:繁栄は戦争に見合った刑罰ではない→戦争の代償としてもっと悪いことが起こるであろう)

戦争と伝道 大正三年十月十日 『聖書之研究171号 署名なし 内村鑑三全集21
 戦争は罪の此世に在りては避け難き悪事であります、是れ人がいくら努力しても廃(や)めることの出来ない事であります、平和協会をいくつ設けやうが、カーネギーのやうな大慈善家がありて其億万の富を擲(なげう)ちて其の廃止を努めやうが、戦争は依然として行はれます、而已(のみ)ならず、世が進むに随(したがつ)て益々盛に行はれるやうに見えます、去らば戦争は廃まない乎(か)と云ふに必ず廃みます 主イエスキリストが栄光を以て天より顕はれ給ふ時に廃みます、而(しか)して基督教の伝道なる者は此時に応ずるための準備であります、此世の改良ではありません、人をしてキリスト降臨の時に備えしめんがためであります、而して戦争はキリスト再顕(さいけん)の確かなる徴候であります、故に私供はすべての方法を尽くして、此時に方(あた)りて世の人にキリストの福音を伝へなければなりません。


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