2018年御翼12月号その2

                           

神社の狛犬(獅子とユニコーン)

 エフライム族もマナセ族も、共にヨセフの部族であるが、ヨセフの部族の紋章(シンボル)は、ユニコーン(一角獣)であった。(ヨセフの部族について、申命記33章17節に「彼の角(つの)は野牛の角。彼は諸国の民を角で突き倒し/地の果てにまで進み行く。見よ、エフライムの幾万の軍勢を。見よ、マナセの幾千の軍勢を」とある。この「野牛」は、後にギリシャ語訳聖書において、「一角獣」即ち、ユニコーンと訳された。それ以前からもユダヤ人の間では、「ヨセフのシンボルはユニコーン」と理解されていた。
 日本の神社の狛犬は、獅子とユニコーンの組み合わせとなっているが、獅子はイスラエルのユダ族の紋章である(創世記49章9節「ユダは獅子の子」)。つまり神社の獅子はユダ族のシンボル、ユニコーンはヨセフ族のうちのエフライム族のシンボルなのだ。イスラエルは、ソロモン王の重税が原因で南北王朝に分裂した(紀元前10世紀)。南王国ユダの中心はユダ族、北王国イスラエルの中心はエフライム族であった。つまり、神社の狛犬は、「南北統一イスラエルのシンボル」と解せないわけでもない。旧約聖書には、やがて南王国のユダヤ人と北王国イスラエルの10支族は、終わりの日にひとつになるとの預言がある。そうした夢を表現したのが、神社の一対の狛犬であるようにも思える。中国や朝鮮半島、インドの王宮や神殿にも狛犬はあるが、それらは左右双方とも獅子であり、「獅子とユニコーン」の組み合わせは、日本独特のものなのである。
 更に、神社の狛犬は、必ず「阿吽(あうん)」の形で対になっている。つまり一方は口を開け(阿)、一方は口を閉じている(吽)。これも外国には見られないもので、日本だけのものである。阿吽という言葉は、元はヘブル語やギリシャ語の「アーメン」から来たものである。「アーメン(本当ですの意)」は、インドに入ったとき、サンスクリット語で「オウム(AUM 真理の意)」となり、そのA・UMが「あうん(阿吽)」になった。オウムという言葉は、地下鉄サリン事件を起こした「オウム真理教」が使って以来、地に落ちてしまった感があるが、それはもとは「アーメン」だったのである。
[以上、久保有政『日本の中のユダヤ文化』(学研)より]
 日本には古代から神社を建立し、狛犬とユニコーンを対に設置することで、人類の統一と平和を願うクリスチャンたちがいたのだ。

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